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AGAは遺伝する?母方・父方どちらの影響が強い?

2026.09.10

「AGAは遺伝するって本当?」
「母方のおじいちゃんが薄毛だと自分もAGAになる?」
「父親は薄毛だけど、自分も将来薄くなる?」

AGA(男性型脱毛症)について、このような疑問を持っている方は多いと思います。

結論からいうと、AGAには遺伝的な要因が大きく関係しています。

一方で、「母方の家系だけでAGAが決まる」「父親が薄毛なら必ず自分も薄毛になる」というほど単純ではありません。

AGAはひとつの遺伝子だけで決まる病気ではなく、父方・母方の両方から受け継ぐ多数の遺伝的要因に、男性ホルモンなどが関係して発症すると考えられています。[1][2][3]

この記事では、AGAと遺伝の関係、母方・父方のどちらが重要なのか、家族にAGAがいる場合にはどう考えればよいのかを医学文献をもとに解説します。

AGAは遺伝する?

AGAは、遺伝的な素因を持っている方に男性ホルモンが作用することで発症する脱毛症です。

AGAの発症には遺伝的素因が重要であることが、これまで多くの研究で確認されています。[1][2]

2026年に発表されたAGAのリスク因子を調べたシステマティックレビュー・メタ解析では、31研究、AGA患者11,224人を含むデータが解析されています。[3]

その結果、AGAの家族歴がある人では、AGAとの関連が約2.7倍高いという結果が報告されました。[3]

家族にAGAの方がいることは、AGAになりやすさを考えるうえで重要な情報です。ただし、家族歴があるからといって必ずAGAになるわけではありません。

なぜ「AGAは母方から遺伝する」といわれる?

AGAについて調べると、

「自分の父親より、母方のおじいちゃんの髪を見た方がいい」

という話を聞くことがあります。

この話が広まった理由のひとつに、アンドロゲン受容体(AR)遺伝子があります。

AGAでは、DHT(ジヒドロテストステロン)が毛包にあるアンドロゲン受容体へ作用することが、毛髪の成長期を短くする重要な要因のひとつです。

このアンドロゲン受容体を作るAR遺伝子は、X染色体上に存在します。[1]

男性は、

母親からX染色体
父親からY染色体

を受け継ぎます。

そのため、男性のAR遺伝子は母親から受け継ぐことになり、AGAの遺伝では母方の家系が注目されてきたという背景があります。[1]

では、母方の祖父が薄毛ならAGAになる?

母方のAGA家族歴が参考になることはあります。

しかし、

「母方の祖父が薄毛なら、自分も必ずAGAになる」

というわけではありません。

AGAに関係する遺伝子はAR遺伝子だけではないからです。

近年の大規模な遺伝子研究では、AGAに関連する遺伝的な領域が多数見つかっています。7万人を超える男性を解析した研究では、71のAGA感受性領域が確認されています。[4]

さらにその後の研究によって、現在ではAGAに関連する遺伝的な領域がさらに多数存在することがわかってきています。[5]

つまりAGAは、

ひとつの遺伝子で「薄毛になる・ならない」が決まる病気ではなく、多数の遺伝子が関係する「多遺伝子性」の脱毛症と考えられています。

父親がAGAでも遺伝する?

はい。父方のAGA家族歴も重要です。

「AGAは母方から遺伝する」という話だけを聞くと、

「父親が薄毛でも関係ないの?」

と思うかもしれませんが、これは正確ではありません。

先ほど紹介した2026年のシステマティックレビュー・メタ解析では、父方にAGAの家族歴がある場合もAGAとの有意な関連が認められています。[3]

父方のAGA家族歴がある場合、AGAとの関連は約2.2倍という結果でした。[3]

AGAにはX染色体上のAR遺伝子だけではなく、通常の染色体上に存在する多数の遺伝子が関係しています。[2][4]

AGAの遺伝を考えるときは、母方だけを見るのではなく、父方・母方の両方の家族歴を見ることが大切です。

父方・母方の両方がAGAならリスクは高い?

家族内にAGAの方が多ければ、遺伝的な素因を持っている可能性は高くなると考えられます。

実際、父方・母方の両方にAGAがある場合にリスクが高くなることを示した研究もあります。[3]

特に、

父親が若い頃からAGAだった
母方の祖父もAGAだった
兄弟にも若い頃から薄毛がみられる
父方・母方の両方に薄毛の男性が多い

といった場合には、AGAの可能性を考えるうえで家族歴が参考になります。

ただし、遺伝的な素因が強いからといって、発症する年齢やAGAの進行速度まで完全に予測できるわけではありません。

遺伝子を持っていれば必ずAGAになる?

いいえ。

AGAは遺伝的な要因が強い脱毛症ですが、遺伝子だけですべてが決まるわけではありません。

AGAは遺伝的にAGAになりやすい毛包に、男性ホルモンが作用することで発症すると考えられています。[2]

そのため、

何歳から発症するか
生え際から進行するか、頭頂部から進行するか
どのくらいの速さで進行するか

などには個人差があります。

AGA遺伝子検査を受ければ将来の薄毛がわかる?

AGAに関連するとされる遺伝子を調べる検査を目にすることがあります。

しかし、AGAには多数の遺伝子が関係しており、遺伝子だけで発症や進行を正確に予測することは困難です。

現在の遺伝学的研究でも、AGAに関連する多数の遺伝子領域が見つかっていますが、治療方針を決めるために一般診療で使用できる遺伝子マーカーは確立されていません。[5]

したがって実際のAGA診療では、遺伝子検査だけで判断するのではなく、

生え際や頭頂部の状態
毛髪が細くなっていないか
薄毛が徐々に進行しているか
家族歴

などを総合して判断することが重要です。

家族にAGAがいる場合、早めに治療した方がいい?

「父親も祖父もAGAだから、まだ薄くなっていなくても薬を飲んだ方がいいですか?」

という疑問を持つ方もいると思います。

家族歴があるという理由だけで、症状がない状態からすべての方が治療を開始するわけではありません。

一方で、AGAは進行性の脱毛症です。

そのため、家族にAGAの方がいて、

最近、生え際が少し後退してきた
頭頂部の地肌が以前より見える
髪が細くなってきた
抜け毛に細く短い毛が増えた

といった変化がみられる場合には、AGAの初期段階の可能性を考えて早めに相談することには意味があります。

AGAは早い段階から進行を抑えることが重要

AGAでは、太く成長していた毛髪が徐々に細く短くなる「毛包のミニチュア化」が進みます。

そのためAGA治療では、すでに失われた毛髪を増やすことだけではなく、現在残っている毛髪をできるだけ維持するという考え方が重要です。

ゆうきクリニックでは、AGAの内服治療としてデュタステリドを採用しています。

デュタステリドは、AGAの原因となるDHTを作る5α還元酵素のⅠ型・Ⅱ型の両方を阻害し、AGAの進行を抑制する治療薬です。

フィナステリドとの比較試験やメタ解析では、AGAへの改善効果はデュタステリドの方が高い結果が報告されています。

AGAの遺伝についてよくある質問

Q. AGAは遺伝しますか?

AGAには遺伝的な要因が大きく関係しています。家族歴がある方ではAGAとの関連が高いことが研究でも報告されています。ただし、遺伝だけでAGAになるかどうかが決まるわけではありません。

Q. 母方の祖父が薄毛だと自分もAGAになりますか?

母親から受け継ぐX染色体上にはAGAと関連の強いAR遺伝子があります。そのため母方の家族歴は参考になりますが、AGAにはほかにも多数の遺伝子が関係するため、母方の祖父だけで将来のAGAが決まるわけではありません。

Q. 父親がAGAでも遺伝しますか?

父方の家族歴も重要です。最近のメタ解析でも、父方にAGAの家族歴がある場合とAGAとの有意な関連が報告されています。

Q. 両親の家系にAGAがいなければ安心ですか?

家族歴がなくてもAGAを発症する方はいます。AGAは多数の遺伝的要因や男性ホルモンなどが関係するため、家族歴だけで完全に判断することはできません。

Q. 遺伝子検査をすればAGAになるかわかりますか?

現在のところ、AGAの発症や治療効果を正確に予測できる遺伝子検査は確立されていません。実際の頭髪の状態や進行、家族歴などを総合して判断することが大切です。

Q. 遺伝なら治療しても意味がないですか?

いいえ。AGAに遺伝が関係していても、治療によってAGAの進行を抑えることは可能です。AGA治療薬は遺伝子そのものを変えるのではなく、AGAの進行に関係するDHTなどへ作用します。

まとめ|AGAは母方だけではなく父方・母方の両方から考えます

AGAには遺伝的な要因が大きく関係しています。

AGAと関連の強いAR遺伝子がX染色体上にあるため、昔から母方の家系がAGAの遺伝で重要とされてきました。

しかし、現在ではAGAに関係する遺伝子はAR遺伝子だけではなく、多数存在することがわかっています。

さらに最近のメタ解析では、父方のAGA家族歴もAGAとの有意な関連が示されています。[3]

AGAの遺伝を考えるときは「母方の祖父だけを見る」のではなく、父方・母方の両方の家族歴を確認することが重要です。

そして、家族にAGAの方がいる場合でも、将来必ずAGAになるわけではありません。

重要なのは、遺伝を必要以上に心配することではなく、生え際の後退や頭頂部の薄毛、毛髪の細さなど実際の変化を早めに確認することです。

ゆうきクリニックでは、AGAの内服治療としてデュタステリドを採用しています。家族にAGAの方がいて将来の薄毛が気になる方や、最近髪の変化を感じている方はお気軽にご相談ください。

AGA・薄毛についてご相談ください

家族歴だけでなく、現在の生え際や頭頂部、毛髪の状態を確認したうえでAGAについて医師がご説明します。

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参考文献

[1] Hillmer AM, et al. Genetic variation in the human androgen receptor gene is the major determinant of common early-onset androgenetic alopecia. Am J Hum Genet. 2005;77(1):140-148. PMID: 15902657.

[2] Lolli F, et al. Androgenetic alopecia: a review. Endocrine. 2017;57(1):9-17. PMID: 28349362.

[3] Li H, et al. Risk factors for androgenetic alopecia: a systematic review and meta-analysis. BMC Public Health. 2026. PMID: 41606541.

[4] Hagenaars SP, et al. Genetic prediction of male pattern baldness. PLoS Genet. 2017;13(2):e1006594. / Heilmann-Heimbach S, et al. GWAS for male-pattern baldness identifies 71 susceptibility loci explaining 38% of the risk. Nat Commun. 2017. PMID: 29146897.

[5] Liu Y, et al. Androgenetic alopecia. Nat Rev Dis Primers. 2025;11(1):73. DOI: 10.1038/s41572-025-00656-9.

記事執筆者

皮膚科専門医

ゆうき皮膚科担当医

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