AGA(男性型脱毛症)とは?原因・治療とデュタステリドの効果、副作用を医師が解説
「以前より生え際が後退してきた」「頭頂部の地肌が目立つようになった」「髪が細くなり、ボリュームが減ってきた」。
男性の薄毛の原因として代表的なものが、AGA(男性型脱毛症)です。
AGAは単なる加齢による薄毛ではなく、男性ホルモンや遺伝的な要因が関係し、毛髪の成長サイクルが短くなることで徐々に進行する脱毛症です。
ゆうきクリニックでは、男性のAGAに対する内服治療としてデュタステリドを採用しています。
デュタステリドとフィナステリドを直接比較した臨床試験やメタ解析では、AGAへの改善効果はデュタステリドの方が高い結果が報告されています。一方、性機能に関する副作用については、両剤に明確な差は認められていません。[1][2]
この記事では、AGAの原因や症状から、デュタステリドの特徴、フィナステリドとの違い、ミノキシジル、治療期間や副作用まで詳しく解説します。
AGA(男性型脱毛症)とは?
AGAは「Androgenetic Alopecia」の略で、日本語では男性型脱毛症と呼ばれます。
思春期以降の男性にみられ、生え際、前頭部、頭頂部などを中心として、毛髪が徐々に細く短くなっていくことが特徴です。
AGAでは突然すべての髪が抜けるわけではありません。
正常だった太い毛髪が少しずつ細い毛へ変化していくため、初期には次のような変化から気づくことがあります。
AGAはなぜ起こる?原因となるDHTとは
AGAには男性ホルモンと遺伝的な要因が大きく関係しています。
男性ホルモンの一種であるテストステロンは、体内にある「5α還元酵素」という酵素によって、より作用の強いDHT(ジヒドロテストステロン)へ変換されます。
このDHTが前頭部や頭頂部などの毛乳頭細胞に存在する男性ホルモン受容体へ作用すると、毛髪の成長期が短くなります。
AGAでは「毛根が突然なくなる」のではありません。
髪が十分に太く長く成長する前に成長期が終了する状態を繰り返し、徐々に細く短い毛が増えていきます。
AGAは放置すると進行する?
AGAは進行性の脱毛症です。
進行速度には個人差がありますが、治療を行わない場合には毛髪の軟毛化が徐々に進み、生え際や頭頂部を中心として薄毛の範囲が広がっていく可能性があります。
そのため、AGA治療では「完全に髪がなくなってから増やす」という考え方だけではなく、現在残っている髪をできるだけ維持することも重要です。
ただし、薄毛の原因がすべてAGAとは限りません。
円形脱毛症、休止期脱毛、頭皮の炎症、甲状腺疾患など、AGA以外の原因によって脱毛が起こることもあるため、薄毛の状態を確認したうえで治療を考えることが大切です。
AGA治療にはどのような方法がある?
AGAの薬物治療は、大きく分けるとAGAの進行を抑える治療と発毛を促す治療があります。
デュタステリド・フィナステリド
AGAの原因となるDHTの産生を抑えることで、AGAの進行を抑制することを目的とした内服薬です。
ミノキシジル外用
頭皮に直接使用し、発毛を促す方向からAGAへアプローチする治療です。デュタステリドやフィナステリドとは作用の仕方が異なります。
日本皮膚科学会の男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインでは、男性AGAに対するデュタステリド内服、フィナステリド内服、5%ミノキシジル外用はいずれも推奨されています。[3]
デュタステリドとは?
デュタステリドは、AGAの原因となるDHTの産生を抑える内服薬です。
DHTを作る5α還元酵素にはⅠ型とⅡ型があります。
フィナステリドが主にⅡ型を阻害するのに対して、デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型の両方の5α還元酵素を阻害します。
この作用の違いが、デュタステリドとフィナステリドを比較するときの大きなポイントです。
デュタステリドとフィナステリドの違い
※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧ください。
| 比較項目 | デュタステリド | フィナステリド |
| 5α還元酵素Ⅰ型 | 阻害する | 作用は限定的 |
| 5α還元酵素Ⅱ型 | 阻害する | 主に阻害する |
| AGA改善効果 | 比較試験・メタ解析でより高い改善効果が報告 | AGAに対する有効性が確認されている |
| 性機能系の副作用 | フィナステリドとの比較で明確な差なし | デュタステリドとの比較で明確な差なし |
| 当院での採用 | 採用しています | 採用していません |
デュタステリドの方がAGAへの効果は高い?
デュタステリドとフィナステリドを比較するうえで、特に重要なのがAGAへの治療効果です。
AGA男性917人を対象として、デュタステリド、フィナステリド、プラセボなどを24週間比較した無作為化比較試験があります。[1]
この研究では、デュタステリド0.5mgはフィナステリド1mgと比較して、毛髪数、毛髪の太さなど複数の評価項目でより高い改善を示しました。[1]
さらに、デュタステリドとフィナステリドを直接比較した複数の研究をまとめたメタ解析でも、総毛髪数、頭頂部や前頭部の写真評価などでデュタステリドの方が高いAGA改善効果を示しています。[2]
現在の比較データでは、AGAへの治療効果はデュタステリドの方が高い結果が示されています。
もちろん、すべての方で必ずデュタステリドの方が高い効果を得られるという意味ではありません。AGAの進行状態や治療への反応には個人差があります。
効果が高い分、副作用も多い?
「デュタステリドの方が効果が高いのであれば、その分、副作用も多いのでは?」と心配される方もいると思います。
しかし、両剤を直接比較した研究では、性機能に関する副作用についてデュタステリドの方が明らかに多いという結果にはなっていません。
デュタステリドとフィナステリドを直接比較した3つの臨床試験、合計576人を解析したメタ解析では、
のいずれについても、デュタステリドとフィナステリドの間に明確な差は認められませんでした。[2]
デュタステリドはフィナステリドより高いAGA改善効果が期待でき、副作用リスクはフィナステリドと同程度と考えられます。
当院がデュタステリドを採用している理由
ゆうきクリニックでは、AGAの内服治療としてデュタステリドを採用しています。
その理由は、現在の作用機序や臨床データを総合すると、デュタステリドにはAGA治療薬として次の特徴があるためです。
Ⅰ型・Ⅱ型の両方を阻害
AGAに関係する5α還元酵素に、フィナステリドより広く作用します。
フィナステリドより高いAGA改善効果を示したデータ
直接比較試験やメタ解析で、毛髪数や毛髪の太さ、写真評価など複数の項目でデュタステリドの優位性が報告されています。
性機能系の副作用はフィナステリドと同程度
直接比較したメタ解析では、性欲低下、ED、射精障害について両剤に明確な差は認められていません。
つまり、より高いAGA改善効果が示されている一方で、副作用リスクはフィナステリドと同程度という点が、デュタステリドの大きな特徴です。
当院では、この治療効果と安全性のバランスを踏まえてデュタステリドを採用しています。
ミノキシジルはデュタステリドと何が違う?
AGA治療について調べていると、「ミノキシジル」という名前もよく目にします。
デュタステリドやフィナステリドがAGAの原因となるDHTの産生を抑えてAGAの進行を抑制する治療なのに対し、ミノキシジル外用は発毛を促す方向から作用する治療です。
そのため、「デュタステリドとミノキシジルのどちらが強いか」という単純な比較ではなく、作用する方向が異なる治療と考えるとわかりやすいでしょう。
ミノキシジルは外用と内服を分けて考えることが重要です
日本皮膚科学会のガイドラインでは、男性AGAに対する5%ミノキシジル外用は推奨度Aとされています。一方、ミノキシジル内服は同ガイドラインでは推奨されていません。[3]
なお、当院のAGA内服治療ではデュタステリドを採用しています。
デュタステリドにはどのような効果が期待できる?
デュタステリドはDHTの産生を抑えることで、AGAによって短くなっている毛髪の成長期を正常な状態へ近づけ、AGAの進行を抑えることを目的とした治療です。
ただし、治療効果には個人差があります。
また、長期間にわたって毛髪が失われている部分では十分な改善が得られない場合もあります。
「飲めば必ず元の毛量に戻る」という治療ではありません。
AGAの進行を抑えながら、現在残っている毛髪を維持するという視点も大切です。
デュタステリドはいつから効果が出る?
デュタステリドを飲み始めても、数日や数週間で急に髪が増えるわけではありません。
毛髪には成長サイクルがあるため、DHTの産生を抑えてから実際の毛髪の変化として現れるまでには時間が必要です。
治療開始~1か月
目に見える毛量の変化はまだわかりにくい時期です。
約3か月
早い方では抜け毛や毛髪の状態に変化を感じ始めることがあります。
約6か月
AGA治療の効果を評価する重要な時期です。
デュタステリドの添付文書でも、投与開始後12週間で改善が認められる場合がありますが、通常は6か月程度治療したうえで効果を評価するとされています。[4]
デュタステリドの副作用
デュタステリドは医薬品であるため、副作用が生じる可能性があります。
性機能に関する症状
性欲低下、勃起機能不全、射精障害などが報告されています。
乳房に関する症状
乳房の張りや痛み、女性化乳房などが報告されています。
肝機能障害
頻度は高くありませんが、肝機能障害や黄疸が報告されています。
フィナステリドでも性欲低下、勃起機能不全、射精障害などが報告されています。
先ほどご説明したとおり、両剤を直接比較したメタ解析では、これらの性機能に関する副作用についてデュタステリドとフィナステリドの間に明確な差は認められていません。[2]
精子や妊活への影響は?
健康な男性を対象とした研究では、デュタステリドの服用によって総精子数、精液量、精子運動率などが低下したというデータがあります。[5]
ただし、低下がみられたものの、平均値は正常範囲内であり、臨床的に問題となる程度の変化ではありませんでした。[4][5]
この研究結果だけから「デュタステリドを服用すると不妊になる」と考えることはできません。
一方で、個人差はあるため、妊娠を希望している方や不妊治療中の方は服用前に医師へご相談ください。
PSA検査を受ける方は注意してください
デュタステリドには、前立腺がんの検査などで使用されるPSA(前立腺特異抗原)の値を低下させる作用があります。[4]
健康診断や泌尿器科でPSA検査を受ける場合には、デュタステリドを服用していることを担当医へ必ずお伝えください。
デュタステリドを服用できない方・注意が必要な方
また、デュタステリドは皮膚から吸収される可能性があるため、女性や小児は破損したカプセルなどから漏れた薬剤に直接触れないよう注意が必要です。[4]
AGA治療をやめるとどうなる?
デュタステリドによってAGAが安定していても、AGAになりやすい体質そのものがなくなるわけではありません。
服用を中止するとDHTを抑える作用もなくなるため、時間の経過とともに再びAGAが進行する可能性があります。
そのため、AGA治療は一定期間薬を飲めば完全に終了する治療というより、効果や副作用を確認しながら継続について検討していく治療です。
AGA治療は早く始めた方がいい?
AGAは進行性の脱毛症です。
薄毛がかなり進行してから治療を開始するより、毛髪が細くなり始めた段階でAGAの進行を抑えるという考え方が重要です。
特に、
といった変化がある場合には、一度AGAの可能性について相談することをおすすめします。
AGAについてよくある質問
Q. デュタステリドを飲めば必ず髪が増えますか?
いいえ。AGAの進行抑制や毛髪状態の改善が期待できますが、治療効果には個人差があり、必ず発毛することを保証する治療ではありません。
Q. デュタステリドとフィナステリドではどちらが効果が高いですか?
現在の直接比較試験やメタ解析では、AGAへの改善効果はデュタステリドの方が高い結果が報告されています。ただし、効果には個人差があります。
Q. デュタステリドの方が副作用も多いですか?
現在の比較研究では、性欲低下、ED、射精障害などについて両剤に明確な差は認められておらず、副作用リスクは概ね同程度と考えられます。
Q. ミノキシジルとデュタステリドは同じ薬ですか?
異なります。デュタステリドはDHTの産生を抑えてAGAの進行を抑制する治療で、ミノキシジル外用は発毛を促す方向から作用する治療です。
Q. 1か月で効果がわかりますか?
1か月では十分に評価できないことが一般的です。早い場合には約3か月で変化がみられることがありますが、通常は6か月程度治療したうえで効果を確認します。
Q. 効果が出たら薬をやめてもいいですか?
治療を中止するとDHTを抑える作用もなくなるため、AGAが再び進行する可能性があります。治療継続については医師と相談しながら決めることが大切です。
まとめ|当院ではAGA治療にデュタステリドを採用しています
AGAは、男性ホルモンや遺伝的な要因が関係する進行性の脱毛症です。
AGAに関係するDHTの産生を抑える内服薬には、デュタステリドやフィナステリドがあります。
フィナステリドが主に5α還元酵素Ⅱ型を阻害するのに対し、デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型の両方を阻害します。
そして、両剤を直接比較した臨床試験やメタ解析では、AGAへの改善効果はデュタステリドの方が高い結果が報告されています。[1][2]
一方、性欲低下、勃起機能不全、射精障害などの性機能に関する副作用については、デュタステリドとフィナステリドの間に明確な差は認められていません。[2]
デュタステリドはフィナステリドより高いAGA改善効果が期待でき、副作用リスクはフィナステリドと同程度と考えられます。
ゆうきクリニックでは、この治療効果と安全性のバランスを踏まえて、AGAの内服治療としてデュタステリドを採用しています。
「最近、生え際が後退してきた」「頭頂部が薄くなってきた」「以前より髪が細くなった」と感じる方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
[1] Gubelin Harcha W, et al. A randomized, active- and placebo-controlled study of the efficacy and safety of different doses of dutasteride versus placebo and finasteride in the treatment of male subjects with androgenetic alopecia. J Am Acad Dermatol. 2014;70(3):489-498.e3. PMID: 24411083. DOI: 10.1016/j.jaad.2013.10.049.
[2] Zhou Z, et al. The efficacy and safety of dutasteride compared with finasteride in treating men with androgenetic alopecia: a systematic review and meta-analysis. Clin Interv Aging. 2019;14:399-406. PMID: 30863034. DOI: 10.2147/CIA.S192435.
[3] 日本皮膚科学会. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版. 日皮会誌. 2017;127(13):2763-2777.
[4] ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg 添付文書. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA).
[5] Amory JK, et al. The effect of 5alpha-reductase inhibition with dutasteride and finasteride on semen parameters and serum hormones in healthy men. J Clin Endocrinol Metab. 2007;92(5):1659-1665. PMID: 17299062. DOI: 10.1210/jc.2006-2203.