デュタステリドの副作用は?
AGA治療を検討している方にとって、「デュタステリドの副作用は大丈夫?」「EDや性欲低下はどのくらい起こる?」という点は気になるところだと思います。
デュタステリドはAGA(男性型脱毛症)に対して有効性が確認されている治療薬ですが、医薬品であるため性機能に関する症状などの副作用が起こる可能性があります。
一方で、デュタステリドとフィナステリドを比較した研究では、AGAに対する治療効果についてはデュタステリドの方が高い改善効果が示されており、性機能に関する副作用については両者に明確な差は認められていません。[2][3]
デュタステリドはフィナステリドより高いAGA改善効果が示されている一方、性機能に関する副作用のリスクは両者で同程度と考えられます。
この記事では、添付文書だけでなく、無作為化比較試験やメタ解析などの医学文献をもとに、デュタステリドの副作用と安全性についてわかりやすく解説します。
デュタステリドで報告されている主な副作用
デュタステリドの添付文書では、性機能に関する症状や乳房症状、肝機能障害などが副作用として記載されています。[1]
勃起機能不全(ED)
勃起しにくい、勃起を維持しにくいなどの症状が報告されています。
リビドー減退(性欲低下)
以前と比較して性欲が低下したと感じる場合があります。
射精に関する症状
射精障害や精液量の減少などが報告されています。
乳房に関する症状
乳房の張りや痛み、女性化乳房などが報告されています。
肝機能障害
頻度は高くありませんが、AST・ALT・ビリルビンの上昇などを伴う肝機能障害や黄疸が報告されています。
実際にEDや性欲低下はどのくらい起こる?
日本人のAGA患者120人を対象として、デュタステリド0.5mgを52週間投与した長期試験があります。[1][4]
国内52週間投与試験(120例)
副作用全体:16.7%(20/120例)
勃起不全:10.8%(13/120例)
リビドー減退:8.3%(10/120例)
射精障害:4.2%(5/120例)
この数字を見ると高く感じる方もいるかもしれませんが、これは120人を52週間追跡したひとつの長期試験の結果です。
より多くの患者を含む別の臨床試験では、勃起不全4.3%、リビドー減退3.9%、精液量減少1.3%など、異なる頻度が報告されています。[1]
副作用の頻度は、対象となる患者様や観察期間、研究方法などによって異なるため、ひとつの数字だけで副作用の起こりやすさを判断することは適切ではありません。
フィナステリドと比べて副作用は多い?
デュタステリドについて、
「フィナステリドより効果が高いのであれば、その分、副作用も多いのでは?」
と心配される方もいます。
しかし、これまでの研究結果では、デュタステリドの方がフィナステリドより性機能に関する副作用が明らかに多いという結果にはなっていません。
デュタステリドとフィナステリドを直接比較した複数の臨床試験をまとめたメタ解析では、
のいずれについても、デュタステリドとフィナステリドの間に統計学的な差は認められませんでした。[3]
つまり、現在の研究結果からは、デュタステリドはフィナステリドより高いAGA改善効果が期待でき、副作用リスクはフィナステリドと同程度と考えられます。[2][3]
大規模なメタ解析ではどうだった?
さらに、AGA男性4,495人、15件の無作為化比較試験をまとめたメタ解析では、フィナステリドとデュタステリドによる性機能への影響が検討されています。[5]
その結果、性機能障害のリスクを示す数値は、フィナステリドよりデュタステリドの方が低い結果となりました。[5]
ただし、デュタステリドについては研究数が比較的少なく、この数字だけから「デュタステリドの方が副作用が少ない」とまで断定することはできません。
また、先ほどの両剤を直接比較したメタ解析では、性欲低下・ED・射精障害について両者に明確な差は認められていません。[3]
わかりやすくまとめると
デュタステリドの方が副作用リスクが低い方向の結果が出た研究もありますが、現時点ではフィナステリドとの副作用リスクに明確な差はなく、概ね同程度と考えるのが適切です。
デュタステリドはフィナステリドより効果が高い?
デュタステリドを当院が採用している大きな理由のひとつが、AGAに対する高い治療効果が示されていることです。
AGA男性917人を対象として、デュタステリド、フィナステリド、プラセボを24週間比較した無作為化比較試験があります。[2]
この研究では、デュタステリド0.5mgはフィナステリド1mgと比較して、毛髪数や毛髪の太さなど複数の評価項目でより高い改善を示しました。[2]
さらに、デュタステリドとフィナステリドを直接比較した研究をまとめたメタ解析でも、総毛髪数や頭頂部・前頭部の写真評価などでデュタステリドの方が高いAGA改善効果を示しています。[3]
なぜデュタステリドの方が高い効果を期待できる?
フィナステリドとデュタステリドは、どちらもAGAに関係するDHT(ジヒドロテストステロン)の産生を抑える薬です。
DHTは、男性ホルモンのテストステロンが「5α還元酵素」という酵素によって変換されることで作られます。
フィナステリドは主に5α還元酵素Ⅱ型を阻害します。
一方、デュタステリドは5α還元酵素Ⅰ型・Ⅱ型の両方を阻害します。
デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型の両方へ作用することで、AGAの原因となるDHTの産生をより広く抑えるという特徴があります。
この作用機序の違いに加えて、実際の臨床試験やメタ解析でもデュタステリドの高いAGA改善効果が報告されています。[2][3]
当院がデュタステリドを採用している理由
ゆうきクリニックでは、AGAの内服治療薬としてデュタステリドを採用しています。
Ⅰ型・Ⅱ型の両方を阻害
AGAに関係する5α還元酵素をより広く阻害します。
フィナステリドより高いAGA改善効果を示したデータ
直接比較試験やメタ解析で、毛髪数や写真評価など複数の項目でデュタステリドの優位性が報告されています。
副作用リスクはフィナステリドと同程度
直接比較したメタ解析では、性欲低下、ED、射精障害について両剤に明確な差は認められていません。
つまり、より高いAGA改善効果が示されている一方で、副作用リスクはフィナステリドと同程度という点は、デュタステリドの大きな特徴です。
当院では、この治療効果と安全性のバランスを踏まえて、AGAの内服治療としてデュタステリドを採用しています。
もちろん、すべての方で同じ治療効果が得られるわけではなく、副作用の現れ方にも個人差があります。治療前にメリットと注意点についてご説明したうえで治療を行います。
副作用は薬をやめれば改善する?
性機能への影響を詳しく検討したプラセボ対照試験では、デュタステリド服用中に認められた性機能関連の有害事象はいずれも軽度~中等度で、試験中または治療終了後に改善したと報告されています。[6]
一方で、添付文書上は、投与中止後にも性機能に関する症状が持続したとの報告があることも記載されています。[1]
副作用の経過には個人差がありますので、治療中に気になる症状がみられた場合には、自己判断で対応せず医師へご相談ください。
精子や妊活への影響は?
妊活中の男性では、「デュタステリドを飲むと精子に影響するのでは?」と心配されることがあります。
健康な男性を対象とした臨床試験では、デュタステリドの服用によって総精子数、精液量、精子運動率などが低下したというデータがあります。[7]
ただし、低下がみられたものの、平均値は正常範囲内であり、臨床的に問題となる程度の変化ではありませんでした。[1][7]
そのため、この研究結果だけから「デュタステリドを服用すると不妊になる」と考えることはできません。
一方で、精子数の変化には個人差があり、一部の方では大きな低下がみられた報告もあります。妊娠を希望されている方や不妊治療中の方は、服用前に医師へご相談ください。
PSA検査への影響
デュタステリドは、前立腺がんの検査などで使用されるPSA(前立腺特異抗原)の値を低下させる作用があります。[1]
そのため、健康診断や泌尿器科などでPSA検査を受ける場合には、デュタステリドを服用していることを担当医へお伝えください。
デュタステリドを服用できない方・注意が必要な方
また、デュタステリドは皮膚から吸収される可能性があるため、女性や小児は破損したカプセルなどから漏れた薬剤に直接触れないよう注意が必要です。[1]
よくある質問
Q. デュタステリドを飲むと必ずEDになりますか?
いいえ。EDは副作用として報告されていますが、すべての方に起こるわけではありません。臨床試験では、薬を服用していないプラセボ群でも性機能に関する症状が報告されています。
Q. デュタステリドはフィナステリドより副作用が多いですか?
現在の研究では、性欲低下、勃起機能不全、射精障害について、デュタステリドとフィナステリドの間に明確な差は示されていません。副作用リスクは概ね同程度と考えられます。
Q. 効果が高い分、副作用も強い薬ですか?
必ずしもそうではありません。AGAへの改善効果についてはデュタステリドの方が高い結果が報告されていますが、性機能系の副作用についてはフィナステリドと明確な差は認められていません。
Q. フィナステリドの方が安全ですか?
フィナステリドにも性欲低下、ED、射精障害などの副作用が報告されています。現在の比較研究では、性機能に関する副作用について両剤に明確な差は認められていません。
Q. 妊活中でも飲めますか?
精液量や精子運動率などが低下した研究がありますが、平均値は正常範囲内で、臨床的に問題となる程度ではありませんでした。ただし個人差があるため、妊娠を希望している方や不妊治療中の方は事前に医師へご相談ください。
まとめ|デュタステリドは効果と副作用のバランスに優れたAGA治療薬
デュタステリドでは、勃起機能不全、性欲低下、射精障害などの副作用が報告されています。
一方で、フィナステリドとの直接比較研究では、性機能に関する副作用について両剤に明確な差は示されていません。[3]
そしてAGAへの治療効果については、無作為化比較試験やメタ解析でデュタステリドの方がフィナステリドより高い改善効果を示したデータがあります。[2][3]
デュタステリドは、フィナステリドより高いAGA改善効果が期待でき、副作用リスクはフィナステリドと同程度と考えられます。
ゆうきクリニックでは、このAGAへの治療効果と安全性のバランスを踏まえて、AGAの内服治療としてデュタステリドを採用しています。
生え際や頭頂部の薄毛が気になる方、AGA治療の効果や副作用について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
[1] ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg 添付文書・医薬品情報. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA).
[2] Gubelin Harcha W, et al. A randomized, active- and placebo-controlled study of the efficacy and safety of different doses of dutasteride versus placebo and finasteride in the treatment of male subjects with androgenetic alopecia. J Am Acad Dermatol. 2014;70(3):489-498.e3. PMID: 24411083. DOI: 10.1016/j.jaad.2013.10.049.
[3] Zhou Z, et al. The efficacy and safety of dutasteride compared with finasteride in treating men with androgenetic alopecia: a systematic review and meta-analysis. Clin Interv Aging. 2019;14:399-406. PMID: 30863034. DOI: 10.2147/CIA.S192435.
[4] Tsunemi Y, et al. Long-term safety and efficacy of dutasteride in the treatment of male patients with androgenetic alopecia. J Dermatol. 2016;43(9):1051-1058. PMID: 26893187. DOI: 10.1111/1346-8138.13310.
[5] Lee S, Lee YB, Choe SJ, Lee WS. Adverse Sexual Effects of Treatment with Finasteride or Dutasteride for Male Androgenetic Alopecia: A Systematic Review and Meta-analysis. Acta Derm Venereol. 2019;99(1):12-17. PMID: 30206635. DOI: 10.2340/00015555-3035.
[6] Tsai TF, et al. Prospective randomized study of sexual function in men taking dutasteride for the treatment of androgenetic alopecia. J Dermatol. 2018;45(7):799-804. PMID: 29667763. DOI: 10.1111/1346-8138.14329.
[7] Amory JK, et al. The effect of 5alpha-reductase inhibition with dutasteride and finasteride on semen parameters and serum hormones in healthy men. J Clin Endocrinol Metab. 2007;92(5):1659-1665. PMID: 17299062. DOI: 10.1210/jc.2006-2203.